岐阜 · 食と建築

杉の門の、その先へ。高山カフェで味わう、建築とモーニングの静かな儀式

飛騨高山の商家が連なる町並みで、再生された町家と出合う。職人の木仕事、自家製シャルキュトリー、厚切り食パンがつくる、ゆったりとした朝。

文:Taka|Travel With Taka 編集部

飛騨高山・上三之町の古い町並みにある高山カフェの入口の門
高山カフェの濃い色の木の門。その先には、午前中の人出が増える前の静かな石畳の中庭が広がる。

文:Taka|Travel With Taka 編集部 ·

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観光バスが上三之町に人の波を運び、みたらし団子や飛騨牛串の甘く香ばしい匂いが細い路地を満たす前。高山の朝は、まだ木の町だ。午前8時、北アルプスから届く空気は頬に冷たく、江戸期の商家を飾る連子格子は、寺院のような静けさをまとっている。

その静かな朝の時間に、高山カフェは朝食の拠点としての魅力を見せる。保存地区の通りに面した重厚な木の門には、鉄の金具。派手なネオンも呼び込みもなく、広い敷居の先には中庭へ続く石畳がのびている。古い町並みから一歩入ると、飛騨の木仕事に包まれた、現代的で温かな居場所が現れる。

飛騨の杉の梁が見える高山カフェの店内
再生された町家の杉の木組みを、温かなエジソン電球が照らす。
楓とテラス席がある高山カフェの中庭
中庭の楓の緑が、窓側のボックス席のすぐそばまで届く。

空間:飛騨の木仕事と、今のカフェの心地よさ

洋風の朝食が、なぜここでは特別な時間になるのか。その答えを探すなら、まず天井を見上げたい。奈良や京都の都づくりにも携わった「飛騨の匠」の伝統は、千年以上にわたりこの土地に受け継がれてきた。高山カフェでは、その歴史が展示品のような堅苦しさを離れ、控えめで現代的な空間に息づいている。

蜂蜜色の杉の梁が天井を区切り、エジソン電球と埋め込み照明が木肌を温める。部屋の中心には、大きな一枚板風の共用テーブル。低い木のアームチェアには、オートミール色の織り地が張られている。大きな窓の向こうには、手入れされた楓と苔をまとった石。室内のボックス席でも、中庭の緑が食卓の一部になる。

歴史ある酒蔵や民家で知られる町で、高山カフェが教えてくれる飛騨の贅沢。それは懐かしさだけでなく、急がない空間と、土地の食材に向き合う誠実な仕事だ。

目玉焼き、自家製ベーコン、ソーセージ、サラダ、厚切りトーストのBプレート
Bプレート(税込1,408円):自家製ソーセージとベーコン、目玉焼き2つ、野菜、自家製食パン。

朝食:岐阜の「モーニング」を、飛騨の食材で

岐阜や隣の愛知で過ごす人なら、「モーニング」が単なる朝食ではないことを知っている。コーヒーに無料、あるいは手頃な追加料金の朝食が付く、地域に根ざした文化だ。昔ながらの喫茶店が半切れのバタートーストとゆで卵を大切にする一方、高山カフェは朝の一皿を、飛騨の高原の食材を紹介する舞台にしている。

Breakfast Specialは4段階。自家製食パンと手作りバター、おかわり自由のコーヒーまたは飛騨高山の紅茶が付くセットAは税抜680円、税込748円。最も充実したデラックスは税抜2,180円、税込2,398円だ。写真のメニューには8:00〜10:30とあるが、現在の公式案内では8:30〜10:30、ラストオーダー10:15となっている。

品数と満足感のバランスで選ぶなら、Bプレート。税抜1,280円、税込1,408円で、厨房の仕事がひと通り見えてくる。

  • シャルキュトリー:既製品に頼らず、自家製のソーセージと厚切りベーコンを用意する。ソーセージはフォークを入れると皮が弾け、粗挽き豚肉の旨みが広がる。そこに重なるのは、人工的な甘さに頼らない、脂の香ばしさと燻製の余韻をまとったベーコン。
  • 卵と野菜:目玉焼きは2つ。鮮やかな橙色の黄身と、縁が軽く焼けた白身は、トーストと合わせたくなる。隣には紫キャベツ、赤玉ねぎ、パプリカ、葉野菜のサラダ。カシューナッツとスライスアーモンドが重なり、別添えのクリーミーでナッツを思わせるドレッシングが添えられる。
  • 食パンとホイップバター:籠で運ばれる厚切りの自家製食パンは、ふわりと裂けるきめと、淡く焼き色のついた耳が魅力。花のように絞った軽い自家製バターが、温かなパンの上でほどけていく。
  • 飲み物:各モーニングセットはコーヒー、または香りのよい飛騨高山の紅茶がおかわり自由。ロゴ入りの厚手の陶器のマグで飲む一杯が、朝を急がせない。
高山カフェの中庭に面した窓側の朝食テーブル
窓側のボックス席で、中庭を眺めながらおかわり自由のコーヒーや飛騨の紅茶を。
セットA、Bプレート、Cプレート、デラックスを載せた高山カフェの朝食メニュー
写真のモーニングメニューは税込748〜2,398円の4段階。8:00〜10:30と記載されているが、現在の公式開始時刻は8:30。

訪問前のメモ

雰囲気
江戸期の商家を思わせる中庭と、現代的な飛騨の木のラウンジ。静かで、木漏れ日が心地よい空間。
所在地
岐阜県高山市上三之町69 · 古い町並み保存地区
モーニング時間
8:30〜10:30 · ラストオーダー10:15。その後はカフェ・軽食営業。
価格帯
税込748〜2,398円
おすすめの注文
目玉焼き2つと自家製ベーコン、ソーセージならBプレート(税込1,408円)。特製オムレツとハムを楽しむならCプレート(税込1,958円)。

写真のボードには以前の開始時刻8:00が記載されています。上記の現在の営業時間は2026年11月6日に公式サイトで確認。価格は撮影したメニューに基づくため、注文前にご確認ください。

カフェの公式案内 ↗

Takaの編集ノート

現在の開店時刻、8時30分を目指したい。中庭の楓が見える窓側のボックス席をお願いし、2杯目のコーヒーまでゆっくりと。9時15分頃、町が動き始める上三之町へ戻る。

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